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数時間後、客が帰ったのを確認してから
俺は部屋の隅で身体中アザだらけで震える柚瑠に服を着せて、彼女をおぶった。
「あらたさんがこない…
あらたさんこない、
あらたさんこない。」
たぶん死んだ目、というより死んだ人間とはこんな感じなのだろう。
華奢な手足はだらんとしていて、
柚瑠が死んでしまったようだった。
そんな状態の柚瑠は「あらたさんが助けてくれない」というのを家について身体中を洗い流してやるまでぶつぶついい続けていた。
柚瑠は毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日こうして、
壊れていた。
「柚瑠、大丈夫。
俺はここにいるだろ…
ずっといたんだからな…
今日も柚瑠とずっと話してただろ?
だから俺がお前から離れるなんて、お前を助けないなんてことはねえんだよ。」
俺はある時そんな嘘を付いた。
柚瑠が楽しかったであろう仕事の話を壊れた柚瑠に、
柚瑠が寝るまでするようになった。
ちょっとでも柚瑠がさっきのことを忘れられるように。
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