エピソードⅠ The being of the witch

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天へ延々と続いてるのではないかと、疑惑が浮上するほどのこのキツい坂道を通らなければ学校に決して辿り着くことはできない。 俺は、青陵学園に通う斎 幸人(いつき ゆきと)。 みんなからは、”ユキト”って呼ばれている。 「もう3年か……」 俺は坂道を登りながら重い溜息をつく。 ほとんどの生徒が進路もほぼ決まり、まるで俺だけが取り残されたような錯覚に陥る。 「……やるせない」 きっと俺には、刺激が足りないのだろう。こんな退屈な学園生活だから、怠惰になるんだよ、きっと。 その時、冷たい風が吹き抜け、木の葉が一斉に音を発する。まるで、俺の気持ちを嘲笑うかのような不気味な音で。
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