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坂道を登ると、眼前に校門が見えてくる。
そして、校門に立っている風紀委員の人達が、登校する生徒の風紀をチェックをしているようである。
「いやあ、本当に朝からよく頑張っとるなあ」
俺は小声で感心しながら、校門を素通りをする。
……しようとしたが、
「こらッ! ユキト!!」
風紀委員の一人が俺の名前を呼ぶなり、もの凄く恐い形相で近寄ってくる。
「……なッ!?」
「反応が相変わらず遅いわね。これじゃあ、カメ並みの遅さね」
腕に【風紀委員】と書かれた帯を付け腰に手を当て、俺を見下しているこの女子は、神崎 鏡香(かんざき きょうか)。
「びっくりした、鏡香かよ。あれ? お前、風紀委員だっけ?」
「ヒドいわねぇ。これでも学校社会を支える重要人物なのよ! ほら! 跪け!!」
「だが断る」
俺は一刻も早くその場を立ち去ろうとする。……が、すぐに鏡香に襟首を強く掴まれた。
「あら? 鏡香様に対してその言葉は何かしらぁ? この無能な庶民め」
「いててて!! 分かった分かった」
鏡香は苦しんでいる俺を離し、右手の小指と左手の小指を立ててニヤッと笑う。
「なんだ、その指は?」
「ウマくいってるんでしょ? あんたとあの子の関係」
「……何のことだ?」
「…もうっ! ほんと鈍い男ねぇ。……まぁいいわ。これ以上、私が言っても仕方ないし。今回は見逃してあげるわ、感謝しなさいよ」
鏡香はそう言い残し校門へと戻って行った。
「……あの子って、まさか」」
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