1人が本棚に入れています
本棚に追加
「委員長、なんで新庄君と青木君は、私達を妬んでるの?」
香織が俺の代わりに、委員長へ問う。
委員長は真剣な口調でそれに答える。
「あの二人は、君達のようなカップルには否定的でね。そろそろ、二人の嫉妬は爆発寸前だ。悪い事は言わん。今の関係は考え直した方がいい……。早いに越したことは無いぞ」
香織は委員長の言葉を聞いて俯く。
もし、俺達がこのままの関係でいればそのしっぺ返しが必ず来ることを示唆している、という委員長の助言だった。
「俺達への嫉妬かよ……。はあ……、聞いただけで吐き気がする」
「つわりか?」
「誰の子だよッ!」
香織は苦笑いをしていたが、心配な表情に変わり俺を見据える。
「ユキトくんは大丈夫? もしかしたら、私がいることでユキトくんに危害が及んだりしたら……」
「ははっ、大丈夫でしょ」
「……」
香織はそれでも納得していないようなので、俺はさらに続ける。
「……そう、話をしよう。あれは今から36垓年前だったか。俺が”つまようじ”と付き合っていた頃、俺は”糸ようじ”だった……」
―――神は言っている。ユキトの頭は大丈夫か? と。
「大丈夫じゃない、大問題だ」
と、香織は厳かに言った。
「香織……、お前ッ。……ああ、神よ! どうかこの香織をお許しください。香織は自分の言っている意味が分かっていないのです。俺の頭が大問題ならば、香織の頭の方がもっと――」
「ユキトくん、いい加減にしないと怒るよ?」
「……すみません」
そして、何だろう。クラスから可哀想なものを見るような目で俺達を見ている気がする。ただの夫婦漫才です、はい。
最初のコメントを投稿しよう!