サムシング・ブルー

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スーツの内ポケットから出された、本革の名刺ケース。 お金持ち…? 「こういう者です。」 藤原…忍、さん。 「何かお困りのことがありましたら、遠慮なくご相談下さい」 「はっ?」 名刺の肩書きが記載してある部分を見る。 グラディ法律事務所… 弁護士さん!! 「弁護士さん…ですか?」 「はい。先ほどのお話、失礼だとは思いましたが背後の席で聞かせて頂きました。 訴えるなら協力しますよ?」 今度こそ、本当に涙が止まった。 何だ?それ… 親切な人かと思ったらただの営業ですか? 本当に悲しんでいるのに… 他人の不幸に踏み込んで、営業だなんて。 「帰ります。」 自分でも驚くくらい、低くて冷たい声がでた。 どいつもこいつも私の事、バカにして!!
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