サムシング・ブルー

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私の伝票と自分の伝票を持って、レジに向かう藤原さん。 私の言葉を聞いて、フッと寂しく笑うと…彼はこう答えた。 「あなたと、同じ境遇だからですよ。 あなたより少し前の時間に、私も婚約者に振られました」 口が…あんぐり…あいた。 えっ?この人も…? 婚約者に、振られましたって? こんな偶然があるの? 同じ日に、同じような時間に、二組のカップルが別れるなんて… 「だから、泣いているあなたを放っておけなかったんだと思います」 今度は優しく笑う藤原さん。 この人、こんな笑顔するんだ… レジに向かう藤原さんの背中を追いかける。 藤原さんは、私たちの分の支払いもしてくれるつもりみたい。 さすがに、初めて会った人にそこまでさせちゃいけない。
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