サムシング・ブルー

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仕事一筋の人なんだろうか? 結婚もとりあえずしておこう、みたいな? その割りには、指輪はちゃんとしてたな… 「どうしました?秋澤さん。 行きますよ?」 さっきの笑顔からは一転、また無表情の顔に戻った藤原さん。 意思の強そうな瞳で見られると、吸い込まれてしまいそう… 「あっ、はい。 あの…ありがとうございました」 「いえ、大した金額ではありませんから」 金額の問題じゃなくて、私に出させるんじゃなく、嫌な思い出しかないこのお店のお金を払ってくれた藤原さんの優しさに、お礼を言った。 振られるわ、支払いをさせられるわ、指輪は持って帰らなきゃいけないわ、雨の中濡れて帰る…なんて、一人だったら間違いなく生きる気力も失っていた所だったかも。
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