サムシング・ブルー

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「あぁ、よかった。 小降りになってきました」 お店を出て、片手を出し雨の様子を確かめる。 その左手薬指には指輪。 私と一緒で買ったばかりなんだろうな… くすみなんか全くない、新品の指輪。 「藤原さん…」 「何ですか?」 ビジネスバッグから折り畳み傘を出して広げて、私の入るスペースを開けて傘をさしてくれた。 「指輪、どうしてしているんですか? 婚約者なら、まだ式もあげてないんじゃ…」 そう、結婚指輪は式の時まで大事に閉まっておくはず。 だって誓いの言葉の後に交換するものだから。 「あぁ、コレですか? 私達は式は挙げない予定だったので、婚姻届を提出するまでに、もう指輪はつけていたんです」
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