潮風

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上越新幹線で越後湯沢まで来ると特急に乗り換え、再び一時間弱揺られて直江津に辿り着いた。 真夏の昼間の移動でこの暑さ。 向こうに着く前に稲森がバテはしないかと心配したが、アイツの足取りは軽かった。 潮の香りが近付いてくると、俺もどこかホッとする。 バスで港に向い、カーフェリー乗り場に到着した。 「お前、船酔いとか大丈夫だよな?」 「…たぶん。乗り物酔いはしないんで」 「あ、そ。酒に酔う時はひでえもんな」 「もう…言わないでください」 稲森が俺の腕をバシンと叩く。 ちっとも痛くねえけど大袈裟に言うんだ。 「痛てえな」 でも、すぐに顔が緩んじまう。 「行くぞ」 それを誤魔化しながらフェリーに誘導した。
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