316人が本棚に入れています
本棚に追加
「と、いうわけでちょっと送り返してきます!」
「ちょ、ちょっと!離しなさいよ!」
「おい!×××!始業式はどうするんだ!」
「遅れます!」
ハルヒと岡部教諭の抗議の声を無視して、俺はハルヒの襟元を勢いよく掴み、なかば引きずりながら教室を脱出する。
教室のドアを閉める瞬間、いっそう大きい声で喚き始めたが無視無視。
はぁ・・・授業エスケープなんて初めてだ。しかも三学期初っ端な。多分何らかの処分を受けることを覚悟しないとな。
どうも、ハルヒと出会ってから俺の平穏なる生活がどんどん失われていってる気がするね。
いつになったらあのころの俺が取り戻せるのやら・・・。
いや、しかし、ホント軽いなコイツ。
そのままジタバタ、ブンブン手足を振り回すハルヒを引きずり続け、校門の前に立った時、振り回していたハルヒの右手が俺の手にヒット。思わず力が緩みハルヒを解放してしまう。
俺から解放されたハルヒは大声で、
「ちょっとキョン!!これは・・・どういうことよ!」
ほんとこっちが聞きたい。ハルヒは右手を腰に当てながら目を吊り上げこっちを睨む。
まぁ、そんなぶかぶかの制服を着たやつに遥か下から睨み上げられても迫力も何も無いんだがな。
しかし、よくよく見れば本当に小さいな。俺の妹といい勝負じゃないか?
「ちょっと!キョン聞いてるの!?」
おっと、そんなくだらん事考えてる場合じゃなかった。
「なんだ?」
「どういうこと、って質問してるのよ!私を教室から連れ出して・・・それにあんな訳の解らない嘘を着いた理由も聞かせてほしいわ!」
いきなり、って単語がお前の口から聞けるとはねぇ。いきなり、小さくなったお前が言えることなのか?
って待てよ、何か重要な事を忘れているような・・・そうだ!
「なぁ、お前・・・涼宮ハルヒだよな?」
俺の言葉を聞いたあと、一瞬ハルヒは俺が何を言ってるか解らないという顔をして
「そうよ。私が涼宮ハルヒ以外の誰だっていうのよ」
そう呟いたハルヒの不適な笑みは間違いなく俺の知っているハルヒのものだった。
間違いない。こいつは涼宮ハルヒ本人だ。
いや、そんなこと教室に入ってきた瞬間分かってたさ。一応、確認しただけだ。
そこで聞きたい。
「そうか・・・・・・・・・なぁ、ハルヒ、お前なんで縮んでんだ?」
最初のコメントを投稿しよう!