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高等部の正面玄関に向かうまでには吹き抜けのロビーなるものが存在する。
昼休み中は皆ここを自由に使い休憩時間を有意義に過ごしている。
PM.0:10
ロビーに群がる生徒は一瞬にして道を開けるかのように皆一点を避けた。
そこを通るのはツーブロックの黒髪の青年を先頭に高等部 3年の男女5人組だった。
高等部では学年ごとに“自らを守り敵を殺す”武器に付いている装飾品が違う。それが学年の見分け方だ。
5人組が通るにつれてロビーの空気に緊張が走る。
彼らがロビーを抜け、正面玄関から校庭に出て行くのを見届けるなりロビーの空気は一瞬にして緩まった。
「こえェ…あれが成瀬一派かよ…」
高等部 1年の生徒はそう呟いた。
その場にいた者は口々に恐怖を、賞賛を、憧れを、口にする。
ただ前を向き、無口ではあったがただ単に正面玄関に向かったという、その単なる行動に無意識に篭った威圧感は側にいる者を圧する。
それは彼らが中等部にいた頃から、もっといえば5人組が4人組だった頃から変わることのない絶対的な存在感をひしひしと周りの者は感じるのだ。
感情ではなく、体の髄が反応する、本能的に。
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