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「な、なんだよ」
福井は後ずさりし始めた。
その行動はもう後の祭でしかない。
「お前ら…それは挑発だと受け取っていいんだな」
明也が普段の彼からは考えられないほどのニヒルな笑みを零す。
夜依と銀はその口調に自然と口角が上がる。
「っいや…そ、そんなつもりはねぇ…」
福井は自らにかけられた問いに答えた。
「だったらキエロ。俺らの邪魔すんな」
もう明也の視界には福井は入ってすらいない。
入っているのは目の前で嬉々とした笑みを浮かべた銀と童子だ。
成瀬一派が恐れられている理由の内、最大にして最悪なのがこれである。
彼らは大抵が普段は温厚である。
ただ、“自らを守り敵を殺す”武器を手にした時彼らの人格は入れ替わる、といっても過言ではない程ガラッと変わる。
敵相手は容赦ない。それはもちろんだが、特に仲間が相手の時は色々な意味でひどい。
敵を相手した時並みに容赦ない。
あくまで娯楽の一種なのだろうが彼らの好戦的な性質は目を覆いたくなるものがある。
なにしろ彼らの考えはこうだ。
“相手の一部を身体から離したら勝ち”
一部は肉塊でも腕でも指でもなんでもいい。
とにかくどこか欠けさせた方が勝ち、なのだと。
これが男達だけならまだ頷けるかもしれない。
たが、女もそうなのだからやっていられない。
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