ようこそ、僕のセカイへ

3/11
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
一定だと思うリズムでわたしの足を感覚だけで前に出す。 片方ずつ、音を手放しながらいると、急速に“赤”が近づいてきて、わたしの前で止まった。 足を出す動きをやめ、あると思うわたしの目で近くの“赤”を見た。 “赤”はなめらかな弧を描き、足を長く伸ばしている。 どうやらくぐるもののようだ。 歓迎するような文字も、禁止するテープもなく、突如現れた異空間への入り口のように、ただぽっかりと存在している。 何かが起きそうな予感があるはずの胸をよぎった気がしたが、また、わたしは足を前に出した。 あるはずの足を、感覚だけで。 .
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!