第3章 あわよくばずっと続いて欲しい日常 -1-

2/27
前へ
/27ページ
次へ
  期末テスト最後の科目は物理だった。得意科目ではあったけど、今回ばかりは眠気との戦いだった。昨晩、どっかの誰かのせいで俺は寝ていないのだ。 クラスメイト達がペンを走らせるコツコツという籠った音が妙に大きく聞こえる。教室の時計を見上げると、残り時間は十五分。物理は貴重な得点源だから、勿体無い減点は避けたいところだ。時間いっぱいまで計算ミスを見直す事にして、俺は再び答案用紙へ目を落とす。 でもその刹那、ちょっと看過できないものが視界に入ってもう一度顔を上げた。 二渡水母が机に突っ伏して、寝ている。 「……」 すやすやと、それはもう気持ちよさそうに両肩がゆっくり上下している。テスト中じゃなければ席を立って頭をひっぱたきに行くところだ。誰のせいで俺が昨晩、徹夜する羽目になったと思ってるんだ。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加