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「ありがと……ございました」
「ちゃんと温まったんだろうな?」
丁度、入り口が見える位置に座っていた俺は足の上に置いて読んでいた雑誌から視線を上げた。
タオルを頭に被せて、両端を握りしめながら入り口に立ち塞がる女。
半袖だったはずのTシャツはほぼ長袖になり、ジャージの裾は何度折り曲げたか分からない。
「はい、お陰様で。あの……先生も」
「その呼び方、止めろ」
「えっ……」
「次呼んだら、即出てってもらう」
俺が『先生』と呼ばれる職業だってことはアイツから聞いているんだろうけど、アイツにでさえ許していない。
そうやって呼ばれるとヘドが出る。
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