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「ここに居てもいいんですかっ?」
頭のタオルを引きずり下ろし、目を輝かせる女。
今になって自分の発言の意味を知った。
「ちょっ、そういうわけじゃ……」
慌てて訂正しようとしても後の祭り。
「猫さーん。私、ここで働かせてもらえるんだって。よろしくねー」
女は近くに居たぶち模様の猫を抱き抱え、共に喜びを分かち合っていた。
どうやっても後戻りさせてもらえそうにない。
ただ、こうして他人を家に上げている時点で、もしかしたら今までとは何かが違うんじゃないかとも思い始めていた。
アイツが言う『人間らしい生活』を1度くらいは味わってみてもいいか。
「好きにしろ」
俺は雑誌をテーブルに放り投げて風呂に向かった。
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