711人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪いけど、俺朝食いらないから」
ダイニングテーブルに並べられたザ・日本の朝食。
白米を盛った茶碗を運んで来ていた咲島の動きが止まる。
「いつも……ですか?」
「あぁ。まともに食べるのは夜だけだから昼飯もいらない」
信じられない、とでも言いたげな咲島の前を通り過ぎてソファに座り、新聞を広げた。
せっかく作ったものを無下にされて腹でも立てたのか、咲島は何も言わずにテーブルの上を片付け始めた。
カチャカチャと鳴る皿の音にも俺の良心は全く痛まない。
ここでの仕事に根を上げるのも時間の問題だろう。
それまで当たり障りなく、やり過ごせればいいだけのことだ。
最初のコメントを投稿しよう!