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静かに新聞を読んでいた俺の膝の上を黒猫が通り過ぎた。
猫の気まぐれを今さらまともに受けようとも思わずに乱れた新聞を直していると、新聞の向こうからコンッと音がした。
何事かと新聞を下げて覗いてみるとテーブルの上にグラスが置かれていた。
「何これ?」
テーブルの端に膝を着いている咲島を見下ろした。
「グレープフルーツとキウイのスムージーです」
「で?」
「飲んでください」
「いらない」
考える余地など全く無かった俺は新聞の位置を元に戻した。
「少しくらいお腹に入れないと……」
「いらない」
それ以外に言うことは無く、新聞を捲った。
「クロ、お前の飼い主様は頑固だねー」
俺は再び新聞を下げた。
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