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「クロって、何?」
「えっ?この子のことですよ?」
咲島は黒猫の脇を抱えて俺の前に掲げる。
「黒猫だからクロ?」
「はいっ」
「ねー」って嬉しそうにクロと意思疏通している咲島。
そのネーミングセンスの無さに俺の中で1つの疑念が浮かぶ。
「なぁ、もしかして……」
ぶち模様は『ブッチー』……
三毛猫は『ホームズ』……
「そうですっ。何で分かるんですかっ?」
分かりたくて分かったわけじゃねーよ。
ここまでの単細胞には出会ったことがない。
「仕事、してくる……」
心なしか痛む前頭部を押さえながら腰を上げた。
「あ、これっ」
「……いらない」
ドアの前まで来て振り返った俺は咲島とスムージーを拒絶した。
『仕事中は一切声をかけるな』
そう、咲島に釘を刺してリビングを後にした。
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