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道路との境界を築いている柵に沿って植えられている紫陽花。
その緑と紫のコントラストの中にあるはずの無いものを見つけた俺は、しばらくその物体を眺めていた。
腰を屈めて、紫陽花の花を愛でるように撫でる手。
足元にすり寄ってきた三毛猫の喉をくすぐる指。
いつの間にか2匹、3匹と集まってくる猫たち。
彼らを分け隔てなく可愛がる瞳が見えた。
「何してんの?」
人の家の敷地にいる見ず知らずの女。
窓を開けて声をかけると彼女を取り巻いていた猫たちは身を翻して家の中へと颯爽と入ってきた。
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