紫陽花の咲く庭で……

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ほんとは“俺も”って言いたいんだけど…… こんな、こっ恥ずかしいセリフを言わせておいて咲島は何の反応も返してこない。 それが悔しくて、咲島の額に手を当てて首を後ろに反らさせた。 「何か言え、こら」 うーっと唸りながら何かを言おうとしている咲島の首を少し前に戻してやる。 「何?」 「意味、分かんないです……」 「何が?」 「宮城さんが、私のこと好きなんて……」 ったく。 この期に及んで俺の気持ちを疑うのか。 「んなもん、俺だって意味分かんねーよ。でも、意味分かんねーくらい好きなんだよ」 咲島のどこがとか、何がとか具体的な理由なんて無い。 そんなちっぽけなものじゃなくて、俺が好きなのは『咲島 紫』っていう1人の人間なんだよ。 俺は大きく息を吐いて、もう1度強く抱きしめた。 「だから、お前も意味分かんなくなるくらい俺を好きになればいい」 「もう……遅いです」 そう言って咲島は俺の腕にすがってきたんだ。
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