紫陽花の咲く庭で……

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俺の腕の中でこっちを向かせた咲島の肩に腕を乗せて顔を近づけた。 「ちょっ……」 咲島は顔を横に背けながら、細い腕で本気で俺を突き返そうとする。 「何だよ?」 「ち、近いですっ」 「だから?」 「恥ずかしいですっ」 「今さら何言ってんの?俺たち初めてじゃないだろ?」 咲島の頭の天辺から湯気が上った。 正直、もっと意地悪してみたいけど、そろそろ俺が限界。 「じゃあさ……」 俺は咲島の手首を掴んで自分の顔の前に持ってきた。 「これ、外せよ」 「えっ……」 「だったら見えないだろ?お前の顔」 咲島の手を眼鏡のフレームに触れさせた。 「早くしねーと、ずっとこのままだけど?」 俺はそれでも良かったんだけど…… 小刻みに震える咲島の手によって少しずつ視界がぼやけていく。 完全に眼鏡が外れた瞬間、辛うじて保っていた理性はぶっ飛んで、咲島の体を壁に押しつけて思いの丈をぶつけた。 お前が欲しい。 姿形だけじゃなく、お前自身を手に入れたい。 だから、全てを感じさせろ。
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