紫陽花の咲く庭で……

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「このこと知ってんのは俺と広美だけ」 「でも、これ書いた人ってこの後は何も出してないですよね?」 「あぁ」 俺は紫の前で組んでいた手の力を強くした。 「宮城さん?」 心配そうに声をかけてくれる紫が安らぎをくれたから、俺は少しずつ自分と向き合おうとしていた。 「あいつ、次第に自分のやったことの罪の意識に苛まれだして、精神的に不安定になっていってな……今は書くことを辞めたんだよ」 あの時、将来に焦っていた和佐の気持ちにちゃんと向き合ってやれていたら、何かが変わっていたんじゃないか…… その後悔は消えずにいる。 「今はほとんど落ち着いてサラリーマンしてるんだけど、たまにな……発作みたいになるんだ。この前の夜……俺がお前を置いていった時も……」 本当の和佐は穏やかで、静かな優しさを持っている。 だからこそ、その時の光景を思い出すと胸が苦しくなる。 「お友達のこと助けてあげたいんですね」 そっと重ねられた手が突き刺す痛みを癒してくれる。 「助けたい?」 その言葉に今までバラバラだった思いが次々に合致していく。
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