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紫の存在が心を晴らしていってくれる。
許すとか許さないとか以前に俺は和佐を憎んでも恨んでもいなかった。
だけど、それをあいつに伝えられていないが故に未だに何1つ終わらせることができていない。
「紫?」
俺の腕の中からひょっこりと出てきた顔が可愛くて瞼に小さなキスを落とした。
「実は広美たちの結婚式、来週なんだよ」
「ほんと!?」
「あぁ。まぁ、和佐のことがあるから身内と、ごく親い友人だけなんだけど一緒に行くか?」
「私……も?」
「俺、ずっと行くか迷っててさ。べつに当日に飛び入りでもいいからって広美に言われてたんだけど……お前となら行ってもいいかなと思って。広美もいいって言ってたし。どうする?」
「宮城さんは辛くないですか?」
「お前と一緒ならな」
「じゃあ……行きます」
「……ありがと」
目の前の紫の優しさを受け取って、彼女の頭を撫でた。
そしたら、なぜか紫は目を丸くした。
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