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「何?」
「あ、いえ、何でもないですっ」
逃げようとする紫の腕を掴んで問いつめる。
「言わねーと、もっかい襲うぞ」
ボッと赤くなった顔に勝負あった。
「……から」
「あ?聞こえねー」
恥ずかしさで潤んでいく紫の目を真っ直ぐに見つめた。
「宮城さんが……」
「俺?」
「宮城さんが笑ったからっ」
紫の口から飛び出した言葉に呆気にとられる。
「そりゃあ俺も一応、人間……だからな」
「でも、初めてです……私に笑ってくれたの。クロたちには笑ってたのに……」
「何?……ヤキモチ?」
下を向いて赤らんだ顔を隠す紫を覗きこんでみた。
「……違います」
「ふーん。じゃあさ……」
俺は紫の顎を持ち上げた。
「……んっ」
恥じらいとか拒否とか否定とか。
そんなもの持ち合わせるだけ無駄なんだよ。
俺はお前が好きで、お前も俺が好きなんだから。
それだけで充分だろ。
離しても触れそうなままの唇が囁いた。
「俺の猫になれよ」
。。end 。。
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