紫陽花の咲く庭で……

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××××××××××××× 頭の中に描いた世界が消えないうちに、呼吸をするのも忘れるくらい一気に書き上げる。 ようやく一息ついて机に伏せておいた時計を起こすと、いつの間にやら15時を過ぎていた。 椅子の背もたれに体を預け、ズルッと力を抜いた。 ふと外を見ると晴れていたはずの空が薄暗い。 「また、降んのか……」 滅多に溢さない独り言が口を突いて出た。 だから、何なんだよ…… 意味不明な自問自答を繰り返していると、やがて雨が降り出した。 そう言や住むとこ無いって言ってたな、アイツ。 まぁ、でも行く宛くらいはあるだろう。 男とか、友達のとことか…… って、関係ないんだよ俺には。
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