4493人が本棚に入れています
本棚に追加
清綱の討死。
この報は敵味方問わず瞬く間に戦場に伝達されて、南天満山にて戦い続ける景健の耳にも入る。
「御報告致しますッ!!北天満山にて赤尾美作守清綱殿、御討死なされましたッ!!」
「赤尾殿がだとッ!?」
撤退戦にはより一層の混乱が大きくなってしまい指揮系統は絶対に維持しなければならない事項である。だが北天満山の指揮官である清綱が死んだとなると、総崩れとなって戦線に致命的な穴が開いてしまう。
「溝江殿ッ、貴殿はこの地を指揮してくれ!!某は北天満山に向かい指揮を執る!!」
「相分かった!!もう松尾山の様な失態は二度と見せぬ!!」
北天満山の指揮を受け継ぐべく、景健は南天満山の指揮権を溝江景逸に委譲し、人数が足りないが故に数人という僅かばかりの護衛だけを付けて移動する。
景逸は前日の松尾山襲撃の折に戦況を見誤ってしまい、これが原因で朝倉景鏡が討死してしまう。だがそれ故に弔いに闘志を燃やしていた。
「景逸様ッ!!街道の守りについていた吉家様が後退を開始ッ!!天満山まで下がる模様ですッ!!」
「どこも押され気味か……兵500名を持って山崎殿の救援に急行!!かの地にて合流をする!!」
しかし如何に闘志を燃やして戦おうにも、戦力差はあまりに大きかった。
ほぼ全軍を投じている織田軍は物量にものをいわしており、朝倉兵一人に対して織田兵三人で囲み突かれる事態に陥ってしまっている。
頭のどこかでは既に負け戦だと理解してしまっている。だがしかし理解して尚も戦うべき時があり、それが今であるからこそ再び歩みだした。
最初のコメントを投稿しよう!