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「また、上杉軍は兵を分散させて侵略は開始するでしょうが、本隊は九頭竜川までいかずとも手取川付近に布陣すると思われます!!」
「ほぅ、仔細を申せ」
本願寺門徒の問題を説明した信忠は、続けて上杉軍の動きについて話を移す。
「まず上杉家は武田家や北条家と周辺国に信を置けるものは居らず、能登の国は急激すぎる制圧に情勢は不安定であるのは想像に易くあります!!」
上杉軍は領土拡張に急ぎ過ぎてしまっており、それが能登の民虐殺などといった悪い形で現れてしまっている。故に隣国は警戒心を強めてしまい一方に大軍勢を送りつつ二面作戦を行う余裕はない筈だと踏む。
特に武田家は上杉家に対して警戒を強く敷いている。
先の三ヶ方原の合戦で武田軍は徳川軍に大勝を手にしたにも関わらず、信濃反乱を理由に撤退してしまう。だが単なる反乱鎮圧だけに全軍を退かせる必要性はなく、明らかに上杉家に対する備えを整えていた。
北条家とて上杉と越相同盟を結んだばかりであるが、この同盟は単なる休戦のようなものに過ぎず信の繋がりは脆い。
故に上杉家は多方面を意識せざる負えずにいると説明した。
「まだです!!理由はその他にも、まだあります!!」
それ以外にも信忠は裏切り者の仕置き問題や急ぎ民商人による支配領土に織田の勝利を知らしめて錦の御旗による混乱を防ぐべきだという事。
いち早く石山本願寺を味方につけて、摂津の水路と琵琶湖の商業ルートを開拓したら膨大な利益に繋がる事。
その他にも、すぐさま義景の降伏を受け入れて、かの地を救う利点を次から次へと並べ立てて説明を続ける。
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