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「槍が折れたなら刀が有るわいッ!!」
弥太郎は折れた槍など投げ捨てて腰に携える刀を引き抜き、昌景が武器を切り替える前に仕留めるべく間髪入れずに迫った。
「これは不味い……何て言ってみたりな」
だが昌景は相手の素早い攻撃に慌てることなく、逆に笑ってみせた。
そして彼の跨がる馬が足元に落ちている槍を口で拾い上げて受け取り迎撃の形を構えられる。
突如として間合いの差が不利になってしまうも、走り出した馬の足を急に止める方が危険だと判断して刀で突いてくる槍を受け流そうとした。
しかし完全に反らしきる事は出来ず、そのまま弥太郎の馬は突き刺されて崩れ落ち、地に転がり落馬してしまう。
「こっ、小島様!!掛かれ掛かれぇ、小島様を御守りしろ!!」
「えぇい、来るなッ!!謙信様だけを御守りしているのだッ!!」
この事態に弥太郎を手助けするべく上杉兵は飛び出して行ったが、本人は慌てて制止させる為に声を荒げた。
「うーむ、一騎討ちの邪魔立ては見過ごせんなぁ?第一陣、火縄を放て」
突如として一斉に鉄砲の発砲音と共に上杉兵が血肉を弾かして倒れ逝く。
発砲した一軍の正体は上杉軍の群れを突破した馬場軍であり、彼らは機をみて横槍を叩き込んだのだった。
当時の火縄銃は鉛の弾が主流であるが、武田軍は南蛮との交易口がなかった為に入手ルートがなく鉄の弾を使用している。
鉄の弾では鉛と比べて飛距離が劣っており、銃身が傷んでしまうなど多くの欠点があるも、貫通力は大きく向上し一撃性に誇るものがあり、上杉兵を具足ごと砕き鴨射ちの如く倒した。
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