廻りし歯車

6/15
前へ
/761ページ
次へ
妻の逃亡に証恵は激怒し、船に乗り砦を後にする彼女等を撃ち掛けて殺してしまった。 だがこれがいけなかった。証恵は織田家に於ける虎の尾を踏んでしまったのである。 逃げる妻を撃ち殺したという報告を聞いた信長は、身内殺しに弟を殺された事を彷彿とさせられ激怒する。 そして松姫大好きの信忠も妻殺しという行動に激怒する。更に愛妻家の前田利家も激怒。続いて愛妻家の山内一豊も激怒。次いで愛妻家の浅井長政も激怒。しかも類に倣って愛妻家である顕如すら激怒してしまった。 ちなみに近江の守備の為に参陣はしていないが、羽柴秀吉と明智光秀も愛妻家であり激怒する事は避けられないであろう。 織田軍ほぼ全軍は長島城に一斉攻撃を開始、ただでさえ士気の下がっている一揆衆は怒涛の織田兵に怯み殆どが後ろから切り捨てられる。そして瞬く間に本丸まで制圧され証恵は取り囲まれてしまう。 「何だこの様はッ!!内応の件は、どうなっているんだッ!!騙したな……儂を謀りおったなぁッ!!」 捕まればどの様な惨い殺され方をするのかと恐れた証恵は、暴れるだけ暴れて最後は火縄銃で射殺されるという最後を迎える。ともあれ、織田軍の攻撃に本城である長島城も瞬く間に陥落した。 そして一揆鎮圧後に信長は長島の五つの砦を廃城する沙汰を下す。 理由として徹底して願証寺を潰したとはいえ、この地には長年の風習は残る為に万が一また蜂起され再占領される事を考慮してのものである。 守備面としての不安は残るも、一向一揆など僧が民を扇動して起きるものであり、正しき善政と厳格な取り締まりにより防げると判断し、塵も残さず全てが粉塵に帰させた。 もっとも本音を言えば、ここで願証寺を復興させる芽を悉く摘む為という意味合いもある。
/761ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4492人が本棚に入れています
本棚に追加