廻りし歯車

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長島の一向一揆を終えた信長は岐阜城へ帰還する。それに顕如も今後の方針を話し合うべく同行するが、城内には新たな火種が待っていたのである。 岐阜城には、北陸道方面軍指揮官たる柴田勝家、越前の朝倉景健、加賀一向衆総括の杉浦玄任が登城していた。 そして勝家の報告を聞いた信長は扇子を素手で圧し折る。 「謀反を画策した加賀一向衆は、此方に控える景健と玄任が事前に鎮圧致しました。現在、僧と民を合わせた5,000名を捕虜としておりまして御下知を伺いたく」 内容は加賀でも一向一揆が起ころうとしていたとの事であり、長島に続く僧の蛮行に信長は怒り顕如は思わず唸ってしまう。 今回は一向衆が朝倉家にも反乱を誘った事で露呈したのだが、もしも鎮圧に失敗していたら、北陸方面軍は退路を失い全滅の恐れまであり天下へと大きな後退を強いられたであろう。 一度ならず二度までも引き起こってしまった本願寺勢力の一向一揆。このまま野放しにしてしまうと次なる乱も危惧され、織田家と本願寺との同盟にも亀裂が入る恐れがあった。 「僧が持つべきは数珠に経典にして武具に非ず、僧が説くべきは念仏にして蜂起の虚言に非ず。これを反す者は即ち賊であり、根を断っとじ整えよ」 そして信長と顕如の度重なる話し合いの後、織田家は一向衆に対して刀狩りの決行を流布。回収した武器類いは寺の修復や奈良の大仏を復興させる事を確約する。 当然、一向衆は力が削がれるのに大きな反発も起こるが、織田家は時に武力を振るいまた時に飴を使って徐々に事を進めた。 また、だめ押しと言わんばかりに朝廷にも働き掛けを行わせ、同時に顕如の尽力も合わせて畿内の一向衆は著しく武力を低下させる。
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