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「……光秀?あいつが謀叛を?」
謀叛の首謀者が光秀だと聞いて信長は不思議そうに顎鬚を撫でる。そして微かに震えだして、成利は怒りに震えているのかと思い息を呑む。
「クッハハ……クッハハハハハハッ!!何だなんだ、年を喰って牙が抜けたと思い外交の務めを主にさせたが、立派なもんを磨いておったか!!」
「うっ、上様?」
どういう事かそれを聞いた信長は怒る処か、笑いを堪える為に震えており膝を叩いて笑いだす。この様子に成利は気でも触れたかと焦ってしまう。
「その牙を上様に向けるなど見当違いこの上なし!!恩を知らず狂気に奔るなど野犬そのもの!!」
「クッハハハハ、それは違うぞ乱丸。武士の所業など犬畜生であり、如何なる大志を抱こうとも儂とて同じ事。恩があろうと己が高みを目指すが謀叛というものぞ」
成利は光秀を貶し吠えるが、信長は高笑いと共にその行動を評価して寧ろ褒めんばかりに頷く。
てっきり高齢者と言っても違えない光秀は、もう戦場を主にさせるのは辛かろうと思い内側の仕事を一任していたのだが、良い意味で見当違いだったと笑ってしまったのだった。
「上様は光秀の行動を肯定なさると!?」
「これもまた乱世。だが死ぬ気はない、さっさと逃げるぞ」
「御意!!然らば、例の地下道に参りましょう!!」
「それと女衆はしっかり逃がせ。光秀が本当に謀叛の意味を理解しているなら無体にはせんだろう」
この様な事態に備えて信長は本能寺にも隠しの脱出路を用意しており、其処を目指して二人は移動を開始する。
この移動の最中に何人もの近習とも会うが、彼らは大人数の移動となってしまえば敵に捕捉されやすくなる事を悟って一礼だけして見送った。
そして皆々は群がる明智軍に突撃し切り込みを仕掛け死して時間を稼ぐ。
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