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「再ッッ!!突撃いいぃぃぃぃぃぃッッ!!」
「うぉおおおおおおおおおおッッ!!!!」
武田軍から再び突撃命令が響き轟き、昌景は槍を大きく振りかざしながら先頭を駆け、土煙の中から多くの武田兵が一切として怯む事なく飛び出して来る。
これには織田兵も狼狽し、さらに第一陣のどれだけの者が発砲したかも不明確とまでなってしまう。
そして何故に武田軍が散発的とはいえ数多くの射撃を凌げたのかは、土煙が晴れると共にすぐ明確になる。
大量の竹束が姿を現し、それを盾にして防がれたのは明らかであった。
「槍衾!!柵に槍を並べ立てよ、早くせいッ!!」
「反応が遅いは雑兵どもがぁッ!!野郎共、ぶち壊せぇいッ!!」
織田兵は周章狼狽といったばかりに混乱をきたし、逆にしてやった武田兵は意気揚々と陣地に詰め寄る。そして混乱を見逃さずに柵を破壊すべく大量の鉤縄が放たれた。
慌てて鉤縄を外そうにも、次々と投げ掛けられる他に隙を突かれて武田兵に直接取り付かれる有り様であり、突破される箇所がでてしまう。
「に、にわぁっ……丹羽様ッ!!もはや中央陣の一ノ柵が四割は破壊されもうしたッ!!」
「鉄砲衆を後ろに下げぇい!!他の陣の戦況は如何か!!」
「北陣の佐久間様も同じく苦戦を強いられている模様ッ!!南陣の徳川様は……その……」
「南陣がどうした!?報告は的確に!!」
中央陣を守る長秀は武田軍怒涛の攻勢に迎撃の指示を飛ばす。だが同時に伝令兵の様子に異変があり問い詰めた。
「南陣の徳川様には馬場軍が攻勢を仕掛けているのですが……まったく攻勢の勢いが御座いません」
「……なにっ?」
その報告に南陣へ眼を向けると何処も突撃を繰り返される激戦地にも関わらず、其処だけ遠くから牽制し合う射撃戦しか行われていなかった。
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