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驚異の象徴たる赤備に怯むこと無く突っ込んだのは鶴の丸の旗。
織田家が家臣たる森長可が昌景と同じように高笑いして武田兵を切り捨てながら縦横無尽に暴れまくり、的確な横槍に進軍を止める事に成功させた。
「っうお、織田軍だぁ!?どっから来やがった!!」
「我が名は森勝蔵長可なりぃッ!!テメェらの首を頂く者の名だから覚えとけぇいッ!!」
この横槍のせいで完全に勢いが殺された。このままでは逆に包囲される恐れがあり、織田軍を甘く見ていた隙が出てしまったと昌景は眉間に皺を寄せる。
「このクソガキがぁッ!!すぐに殺して家康も殺すッ!!」
「ふへぃー、何だあの小人ッ!!短身が威勢だけはデカくいようと叫んでやがんぞッ!!」
「ぜってぇに殺すぅッ!!」
昌景は齢20のほどの長可をガキと叫んだが、逆に身長130cmという点を指摘されて言い返されてしまい殺意をさらに高める。
そして互いは槍を合わせ、一合目二合目と回数を重ね二人の高笑いが戦場に木霊し、この異常な気迫纏わる光景に兵たちは思わず後ずさりしてしまう。
だが最初は互角に渡り合っていたのだが、打ち合いが続けば続くほどに実力差が浮き彫りになってゆく。十合目 辺りになると長可の息は上がり槍の手が下がってきたにも関わらず、昌景は一切として呼吸を乱さず笑い続けていた。
一回打ち合うだけで手が痺れて骨の芯まで響いてくる。それは身長の短所を十分補うほどに体を鍛え上げられ、武の技量をとことんまで磨き上げている事が身に染みて伝わる。
「てめぇ……一寸法師の癖になんつう馬鹿力してやがる」
「鍛え直せクソガキッ!!あと身長の事をいうな、ゴラァァッ!!」
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