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処変わって明智側。
明智軍は本能寺の変の後にすぐ京に入り落人狩りを行い制圧してみせる。そして翌日には吉田兼和を取り入れると同時に朝廷に銀子100枚の献上と共に事態鎮圧時に追加を約束して認められる事を成し遂げた。
また謀叛に加担した阿閉貞征と京極高次が秀吉の居城である長浜城を攻め落とし、武田元明は同じく兵を挙げ丹羽長秀の居城である佐和山城を攻め落としている。
更に浅井家と朝倉家も二分して蜂起するという混乱に叩き落とされた。
しかし光秀にとってこれは順調とは言い難かった。
何故なら安土城を接収に軍を向かわせるも織田家臣の山岡景隆に唯一の進軍路である瀬田の大橋を焼き捨てられて足止めをくらう。
橋は二日後にやっと修復されるも此処からが最大の障害があり、それは安土城の織田軍が徹底抗戦の構えていたのだった。
そして明智光秀は安土城攻めの本陣を構えていた明智秀満の元に合流する。
「左馬助、現状を報告せよ」
「うっ……これは光秀様。この様な不始末、面目次第も御座いませぬ」
「よい、まずは報告をせよ」
光秀の表情は冷静を装っているも隠し切れない焦りを感じ取った秀満は焦燥感に駆られながら喉を鳴らす。
「織田軍は安土城に籠り士気旺盛。一度攻勢を仕掛けた折、戦闘規模からその数は最低八千と想定されます」
「八千……?何故にそれほどの数が集うか」
「それと指揮を執るは、細川藤孝殿という噂も……」
藤孝という名に光秀の動きが止まる。二人は旧知の間柄であり、今回の謀叛実行前に味方に付いてくれないかと相談までしているほどであったので複雑な思いが巡る。
それに信長の死により織田軍は打開すると思っていた為、軍勢が集い抗戦の構えを見せるのは想定外でもあった。
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