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安土城にて籠城を決定した松姫たちは、援軍を求める書状を送った。
そしてまず動いたのは信長の甥で近江大溝城主たる津田信澄であり、彼はすぐさま居城を空にして入城する。
次いで次男の北畠信意であるが、彼は書状を見て首を捻らせた。
「保重~。これはどうすれば良い?」
いまいち内容が理解できなかったらしい信意は家老の柘植保重を手招きして書状を見せ意見を求める。そしてこれを見た保重は小さく唸って頷いた。
「要約すれば、行って安土城を守れば信孝様を出し抜けます」
「すげぇ!!じゃあ出陣!!あと三七は死ね!!」
「……軽いですね」
信意は弟の信孝を出し抜けると聞いた瞬間に立ち上がって出陣命令を発する。これを見てなんも考えてないのだろうなと保重は内心で思うも、後継者争いで優位に立てると考えて取り敢えず良しとした。
そんな、なあなあの具合で軍勢を率いて信意も安土城に向かう。
最後に三男の神戸信孝であるが、眼に通した書状を見て勢いよく刀を引き抜き大きく息を吸う。
「義母様がこの信孝を求めていらっしゃるッ!!御助けせねば男が縋るというものぞぅッ!!それと茶筅丸は死ねッ!!」
そして信孝も迷いなく出陣。ちなみに安土城に向かう途中で信意の軍と鉢合わせしてどちらが先に城に着くかと競い合った挙句、入城後はどっちが先だったかと二人で殴り合った。
ちなみに一番乗りは信澄であり、彼は二人の仲の悪さに若干引き気味で表情が引き攣る。
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