集え勇士よ

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織田信忠の軍勢到来。この報は安土城攻撃中の明智軍の全域に響き渡り、すぐに光秀と秀満の耳にも入った。 そして秀満はこれに対し顔を青くして、思わず報告に来た兵の肩を強く掴み言葉が詰まる。 「……五日、たった五日だぞ?信忠は総力戦を挑む武田軍を去なし、信康の謀叛問題を片づけ、三万の軍勢の兵站を保ちつつ走破したというか!?敵が苦し紛れに出した誤報ではないのか!!」 到底信じられる話ではない。織田領の主要街道は比較的整備はされているものの、武具等の類は合わせ数十kgもの荷物となり、更に数万人規模ともなれば一日で移動可能距離は二十kmなどとかなり時間が掛かる。 そして長篠から安土城まで単純に見積もっても百五十km以上。つまり五日という日数は尋常でない速度であるのだ。 「ふっ、事は上手く運ばないものだな……」 だが狼狽する秀満を見て光秀は小さく笑う。上手くいかないのは信長も同じであったかと思いながら。 「左馬助、攻勢を取り止め兵を後退させるぞ。信忠到着までに安土城を制圧できなかったなら緒戦は我らの負けよ」 「ぬぅ……口惜しき。かの城を得られれば要所の確保のみならず、蔵に納められた財の類を軍資金に加えられたのに」 「そういうな、瀬田大橋まで退くぞ」 明智軍はただでさえ兵力と資金が不足しており、一兵一具とて無駄にはできない。その為に固執して退き時を間違えてはいなけかった。 故に信忠の軍勢到着の報を聞いた光秀はすぐさま陣を引き払い撤退を開始する。 そして入れ代わるように信忠軍が入城。安土城を守りきった織田兵は歓喜喝采に沸き上がり迎えた。
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