夢は儚く

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利三の馬に飛び移る長可を槍で払おうにも間合いが近すぎてしまい反撃できず、腰を掴み掛かられ引き摺り落とされた。 「もぅ少し付き合ってもらんぞッ!!そして此処で死ねェッ!!頼んから死んで手柄になれやってんだッ!!」 「こんの……あほんだらァ、がッ!!テメェが死ね、餓鬼!!」 地面に叩き付けられた利三は怯まずに長可の顔面に拳を打ち込む。しかしすぐに殴り返されて互いに罵詈雑言の嵐と共に殴り、殴り、殴り殴り、殴り、殴り殴り殴り、二人の拳は返り血に赤く染め上げながら相手に向かい叩き込む。 その最中に利三は殴ってきたタイミングに合わせて長可の首を抑えつけ、頭の挙動を止めさせ狙いを定めて鼻に拳を突きいれた。 鼻を圧し折られたと共に歯も折れて意識すら飛びそうになるが、続けて追撃の拳が見えて休む暇などないと気をしっかりと持ち直す。 そして長可は口内に転がる折れた歯を噴き出して相手の眼に突き当てて、一瞬動作が遅くなった隙を付き振り下げていた右腕を捕えて倒れ込み脇固めに入った。倒れ込みからの脇固めは一点に体重を掛ける事が可能であり、一気に利き手を壊してやろうと考えたのだ。 「右腕貰ったぁぁ……ぁああ!!?」 右腕を折ってやろうとしたが相手も簡単にやられる気は無く、腕一本で長可の体を持ち上げてそのまま勢いよく地面に打ち付けられる。 この投げつけられてた事に何が起こったのか自分でも理解できず頭の中はクエッションマークに埋めつけられる。 自身の体重に加えて具足の重さはざっと見積もっても30kgはあり、総重量はかなりの重さになろうものを赤子を持ち上げるが如くに宙に浮かべた事に驚きが隠せなかったのだ。 さらにこの機を逃さんと利三は逆にマウントを取って脇差を抜いて頭を刺そうとし、長可は咄嗟に左手を出したが掌を突き刺さられた。
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