終わりと始まり

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1578年4月、本能寺の変から一年が経過し織田家は大きな飛躍の時を迎えようとしていた。 そして安土城の政務の間に織田家臣及び公家や商人に高僧の者たちなど、日ノ本有数の有力者その数凡そ百名以上が軒を連ねる。 「御当主様ッ!!御入室致しますッ!!」 この声を聞いた有力者たちは頭を深々と下げて、その前を堂々と一人の男が罷り通った。 「皆、面を上げてくだされ。此度はご多忙の処によく来てくださった」 男はその光景に悦を浸る事なく、屈託の無い笑顔で頭を上げさせる。そして合図と共に横に控える家臣が書状を渡す。 これを手渡された男は意を決した面立ちを表しながら喉を鳴らした。 「織田家当主、織田信忠が名に於いて此処に宣言する。征夷大将軍の官位の下に織田幕府の樹立を」 「祝着至極に存じます」   そして男は織田信忠という自身の名と共に幕府の立ち上げを宣言。また征夷大将軍である事を言ってみせた。 朝倉家騒動から長年に渡り空席だった征夷大将軍の位であるが、遂に信忠がそこに就くことが叶う。 これにより、実質的に織田家の天下統一の宣言と同じことであった。
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