終わりと始まり

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関東・東北連合は完全に読み違えた。自身が井の中の蛙だと理解できぬまま大海を泳ぐ鯨に勝負を挑んでしまったと。 何もかも格が違う。 戦術も戦略もより効率的かつ実用的なもので、武装も鉄砲の数おろか質すらまるで違う。更にいえば織田家は前もって関東の物資を買い占めており前準備すらも差がある。 氏政は恐怖を感じてしまう。そして上が臆してしまえば下の者にも伝わってしまうのは必定であり、織田家に内通しようとする者も多くいた。 「信忠様、北条の者から多くの降伏の書状が来てますが」 「捨てとけ」 「それと東北連合からも結構の数の書状が」 「焼こう。ついでに芋も焼こう、新介よ芋を持て」 「すぐに用意しましょう。芋を」 格の違いがわかった頃には既に遅かった。大義名分という織田軍が合法的に広大な土地を得られる手段を与えた時点で遅かった。 結局織田軍は東北の大名を悉く取り潰し、家を残されても領土は大きく削られる事となる。 征伐を終えた東北の織田軍は関東の本隊と合流。北条軍は更に倍に増えた敵に恐れて小田原城内で反乱、難攻不落の巨城は内から無惨情けなく陥落した。 関東及び東北の征伐は僅か三ヶ月足らずで終演。この結果は日ノ本全域に響き渡り、中立や参加を渋っていた多くの勢力は幕府に与する事となった。 また、この幕府に与することを表明した中には、かの長篠でも雌雄を決した武田家の名もあったのだ。 武田家の名には流石に驚いた信忠であったが、甲斐一国の安堵を約束して受理し武田勝頼もそれに承諾する。 しかし武田家は豪族連合が故に穴山信君を始めとする者が反発。勝頼を殺すべく躑躅ヶ崎館を襲撃したのであった。
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