終わりと始まり

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織田軍と衝突した島津軍であるが、彼らは刃を交えて相手が今までとはわけが違うと身を以って実感する。 武には蜂須賀勢や黒田勢、智には竹中重治と黒田高孝が手腕を光らせており、兵力差も相成って戦線は次第に押し込まれてゆき苦戦を強いられた。 これにより終いだと感じ取った島津義弘は当主を差し置いて独断で五ヶ国を安堵を条件で降伏を提示する。 始めは渋った秀吉だったが、相手が戦闘の天才的変態集団と感じ取った信忠は領土を削り三ヶ国の安堵でそれを許可して九州征伐を終える。 ちなみにだが、独断開戦を理由に大友家と毛利家を罰して当主の失った龍造寺家は再興を名目にごっそりと領土を削ったりもしたりしている。 1580年10月、日ノ本は織田幕府の名の元に全戦争の停戦調停を成功。これを以って名実ともに織田家による天下統一が為された。 統一を成し遂げた信忠は家臣の肥大化を抑えながら、平和的統治による官僚システム統治を組み上げて順調に事を進める。また武器の近代化も推し進めて産業とし、戦後復興にも人員を集めて職を宛がい経済の流れを止めさせる事をさせなかった。 ちなみに信忠は生涯に松姫のみを妻として愛し続け、後に男子三人と女子一人を産み君主の妻としての役割も十分にやり遂げる。 また二人は政務は無い時は常に一緒におり、殆どの家臣たちの覚え書きには”松姫様を見たら十歩以内に信忠様がおわす”とか”いつ見ても新婚のような初々しさがあり、見ているこちらが恥ずかしさで痒くなる”っと書かれた。 他にも信忠と松姫は子にも夫婦とは何たるかを常に説いており、その意を汲んで織田家は代々家族を愛する人の鏡たる者が多い人柄が続く。 そして後に将軍職を退いた信忠は松姫と尾張の国に隠居し、二人で大提灯祭りを見たり目的もなく散歩したりと残りの余生を平穏と共に過ごした。 百年の戦乱の世を終えさせた英雄は、その名誉や地位に拘る事無くただ愛する者と幸せに。
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