─誤算─ Act30.

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別れ際、美緒はじっと無言でオレを見つめた。 目が合うと、恥ずかしそうに視線を落とす。 どう声をかけてやればいいのか分からなかった。 策略がなく、純粋に好意で動いていたなら、幸せな気分になれただろうか。 「…また、連絡するから」 心とは裏腹に告げると、美緒ははにかんで笑んだ。 オフィスに向かう道すがら、この先どうするかを悶々と考えた。 一度やったら気がすんだ、というのはなしだ。 それじゃ、美緒を傷つけるだけで終わってしまう。 目的を見失ってどうする。
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