#1 鍋を年中おいしく感じる気がしたら負け

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「てか姫さん。米炊けれるのか」 その一言に姫さんの肩がビクゥーッとはね上がる。 「…もちろん」 「ホントに?」 「当たり前だよ」 「米はたわしで洗うものじゃないから」 「…スポンジ」 「でもないから。手で洗いなさい手で」 「…ボケただけだから」 「やっぱり?頼んだよ」 瓶をもって戻るとマリアが酒を飲んでいる傍らでルイージが酔い潰れて倒れていた。 「ねえ、ルイージったらもう潰れちゃったんだけど」 「おっさんのペースに付き合わされたらすぐこうなるわ」 俺が指差す先のルイージが手洗いへ駆け込んでいった後、ピー音がかかりそうな水音を大音量で垂れ流していた。 「おっさんって言うな。最近ストレス溜まってたからしょうがないじゃない」 「なに、女の子の日?オカマが?」 「オカマも女の子だっての。彼女もいない野郎に心配なんかされたくないわよ」 「なんだと、この青髭ババアが」 「いっぺん死ぬか?」 「んなこと言うやつのどこがマリアだよ」
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