茶トラ猫

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「君は一体……?」 「それが……僕にもわからない。けど、全ては君……ちゆりちゃんが知ってるはずだよ」 私が知ってる……? 全てを? 一体どういう事? 「自分のことなのにわからないの? それなのに私が知ってるの?」 「そうだよ」 自分で自分のことがわからないなんて、変なの。 それなのに私が知ってるなんてもっと変。 そもそも猫でもない私が何を知ってるというのだろう。 「君はおかしな事を言うんだね」 その言葉に猫の背中は丸まった。 それは多分、肩を竦めた動作なのだろう。 「僕だって、なんで自分の事なのに覚えていないのかわからない。でもひとつだけわかっている事があるんだ」 「わかってる事?」 猫は大きな瞳をゆっくりと、瞬かせる。ピンと生えたひげを揺らしながら口を開いて。 「うん……僕はちゆりちゃんの記憶を取り戻さなくちゃいけないって事をさ」
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