第1章

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「孝ちゃーん!! あっさだよー!!」 「……後、5時間」 「いやいや長すぎでしょ!! そんなボケいいから起きて!!」 「……むり」 AM5:00、紅崎家の朝は早い。 幼馴染であり同居人の孝虎略して孝ちゃんを起こしに来たのだが、 一向に起きる気配がな……むしろミノムシのように布団を抱き込む形で寝ている。 うぅむ、毎朝のことながら懲りない奴め……私の能力の前ではそんなもの、 髪についたゴミを払うようにあっさりと引き剥がせるというのに。 「ほんとに、孝ちゃんは懲りませんなぁ……とうっ」 「っ!! おわっ!!」 ザッと大きな音と共に勢い良く布団を剥ぎ取ると孝ちゃんは布団から転げ落ち―― ないんだけどね。 体を捻り華麗に床に立った孝ちゃんはまだ眠そうな顔で私を見つめる。 「あのな、能力の無駄遣いってよくねぇと思う」 「うん、じゃあ使わせないよう早起き頑張ってくれる?」 「……あー、うん無理だわ」 俺この生活まだ慣れてねーから。なんて頭を掻きながら部屋を出て行く。 いやいや慣れないってアンタここ住み始めてもうそろそろ5年経ちますけど!! まぁ、前までは孝ちゃんが起きるまでお爺さんは孝ちゃんを起こさない主義だったし……。 仕方ないのだろうか、いやでも郷に入っては郷に従えって言うし!!
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