無題

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高校三年の二月末。卒業を前にした僕は友人と一緒にコンビニのバイトをしていた。その友人とは中学以来ずっと一緒にいる仲で、僕の人見知りを少しでも治そうとこのバイトに誘ってくれた。 その日も一緒にバイトをしていた。学校も休みで朝からのシフト。朝からの眠そうにしていた友人は、夕方頃になると欠伸を我慢することなく連発していた。仕方がないので代わりに眠気を我慢して僕はレジ打ちをする事になった。 そこに一人の女の子が入ってきた。その子は商品を見ることなく、真っ直ぐにレジ打ちをしている僕の所に進んでくる。その子は間違いなく、僕の幼なじみだった。彼女が目の前に来て僕に何かを言っていたが、詳しい話の内容はは覚えていない。ただ、確かなのは何時にバイトが終わるかを聞きに来たこと。彼女はそれだけ聞くとなにも買わずに、またすぐに店から出ていった。一体何しに来たのか分からなかったが、それはバイトが終わってから分かった。 帰りの支度を済ませ二人で帰ろうと店から出ると、そこには彼女が立っていたのだ。遅い、と言う彼女の顔は嬉々としていて、面倒なことに巻き込まれるなと瞬時に理解した。 結果は彼女の買い物に付き合うことだった。どうやら僕達は荷物持ちに呼ばれたらしい。ちなみに外で待っていたのは彼女だけでなく、彼女が親友と呼んでいる女の子も来ていた。その子も含めて僕達四人はよく一緒に居ることが多いのだが、大概は彼女のやることに付き合わされている。 今回は、もう卒業だからクラスの皆にプレゼントを買うらしい。全員分買うつもりらしく、当然お金の方が気になる。その事について聞くと、あんた達が持ってるでしょ? とのことだった。 彼女の買い物は三時間程続き、最後の方は個人的な買い物へと変わっていた。それらに関しても全て、僕と友人の給料から引かれることとなった。 最悪な一日になったこの日を恨みながら友人と二人、買い物袋を両手に提げて歩く。彼女の親友は申し訳なさそうにこちらを見てくるのに対し、一番前をご機嫌な様子で歩く幼なじみは足取りが軽い。そんな彼女にため息を漏らしながら、どこか憎めない、離れられない自分にまたため息を漏らす。 そんな何気無い日常。ふと、前を見ると、眩しいライトの光。それは真っ直ぐに、僕達の方へと向かってきた。
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