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「……こういうやり方は、ズ
ルいと思う……」
牧村の狙いが解って、純平
は唇を尖らせて拗ねる。
「ごめんね?甘えるのって難
しいなぁ」
意地の悪いことをした自覚
はあるので苦笑してしまう。
「普通に言えばいいと思う」
「そう?じゃあ……純平君」
「……はい」
「もう一度、君からキスして」
「……うん」
“初夜”としては失敗なの
かもしれないが、夜桜に見守
られる中で交わした想いは、
確実に二人の絆を深めた。
「好きだよ、純平君」
「ん……俺も大好き!」
愛しさが瞳から溢れ出る。
夜風が吹いて、大きな桜の
木が揺れる……二人を祝福す
るかのようにサワサワ、サワ
サワと、春の歌を奏で、花び
ら達が舞い踊っていた――
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