Act.1

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    この歳にもなって人前で居  眠りしていたことに羞恥心を  覚える。   照れ隠しで笑いながら本を  受け取った。  「日当たりいいですよね、こ  の席。眠くなるのも解ります」   青年は気遣いからか、私の  居眠りに好意的な反応を返し  てくれた。  「えぇ。とても居心地が良く  て、つい長居をしてしまう」   この喫茶店を知ったのは最  近だったが、珈琲の美味さと  ゆったりと寛げる暖かい雰囲  気に惹かれて、昼休みの度に  通っている。  「そう言ってもらえると嬉し  いです。珈琲のおかわりお持  ちしましょうか?」  「え?」  「ん?」   にっこりと笑顔を見せてい  る青年に私は首を傾げた。
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