春恋桜歌

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    のんびりしている内に夕食  の時刻となり、ここでも純平  は初めての部屋食というもの  に感激した。   上品に盛りつけられた料理  は、食欲旺盛な純平にとって  は量的に物足りず、牧村は自  分のお膳から分けてあげた。   空腹を満たした二人は肩を  並べて大浴場へと赴く――   脱衣所で服を脱いでいる途  中、牧村はあることに気付い  て純平を見つめてしまう……  「な、なに?」   上半身裸でズボンを脱ぎか  けていた純平は、牧村の視線  が体に向けられていることに  ドキリとし、急に恥ずかしく  なって自分を抱き締めるよう  に胴を隠した。  「フフッ。お腹の膨らみ具合  が赤ちゃんみたいだなぁと」  (あ、赤ちゃんっ!?)   見られていたのは胃袋か!?  と今度は満腹の腹を隠すが、  年上の恋人に赤ちゃんと例え  られたのがショックで、唇を  噛んだ。  「う~~っ」
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