春恋桜歌

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   「フフッ。ごめんね?」   でも可愛いお腹だ。と牧村  は思う。それが眉尻を下げた  微笑みとなって表に出てしま  うのだから、純平に「誠意が  ない」と毎度怒られるのは当  然だ。  「先行くよ?」   ふてくされ顔の純平の頭に  ポンポンと手を置いて、タオ  ルを腰に巻いた姿で大浴場へ  と向かう。  「……む~……俺のバカ」   美味しくて、いつもみたい  にバクバク食べてしまったこ  とを後悔しながら、ぽっこり  と膨らんだ腹を撫でた。  (そうだよ!良く考えたら、  これから牧村さんと……って  な時なのに!腹パンパンにし  たら、そりゃ風呂じゃなくて  も見られるじゃん!あーもう  俺のバカバカバカ!!)   少しでも引っ込んで欲しい  と願いながら胃袋の辺りをマ  ッサージする。男でも、好き  な相手にはスタイルを良く見  せたくなるものなのかと、純  平は身を持って知った――
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